ルヴエルのよどり
ルヴエルの『夜鳥』

冒頭文

日本には厳密な意味でのコントの作家がない。コントにふさわしい断面もしくは刹那(せつな)において人生をとらえる俊敏な把握力とこれを軽快に表現する表現力とをそなえた作家が日本にはまだない。偉大なる長編作家が日本にないことはよくいわれているし、それも事実であるが、それと同時に秀れたコントの作家も日本にはないということを我々は公平に認めなくてはならぬ。 田中早苗氏の翻訳によって最近モーリス・ルヴ

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1928(昭和3)年8月1日

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年11月10日