ずがいこつのひみつ
頭蓋骨の秘密

冒頭文

山中の骸骨 実験室の前の庭にある桐の若葉が、ようやく出そろった五月なかばのある朝。塚原俊夫君が「Pのおじさん」と呼ぶ警視庁の小田刑事は、珍しくも私服を着て、私たちの事務室兼実験室を訪ねられました。小田さんは東京に近い△△県の田舎の生まれだそうですが、その村の小田さんの親戚の家(うち)に一つの事件が発生したので、俊夫君にその解決を依頼すべく来られたのです。 今日からちょうど五日前

文字遣い

新字新仮名

初出

「子供の科学 二巻一〇~一二号」1925(大正14)年10~12月号

底本

  • 小酒井不木探偵小説選 〔論創ミステリ叢書8〕
  • 論創社
  • 2004(平成16)年7月25日