樹下 その藁屋根(わらやね)の古い寺の、木ぶかい墓地へゆく小径(こみち)のかたわらに、一体の小さな苔蒸(こけむ)した石仏が、笹むらのなかに何かしおらしい姿で、ちらちらと木洩れ日に光って見えている。いずれ観音像かなにかだろうし、しおらしいなどとはもってのほかだが、——いかにもお粗末なもので、石仏といっても、ここいらにはざらにある脆(もろ)い焼石、——顔も鼻のあたりが欠け、天衣(てんね)などもすっか