くぎぬきとうきちとりものおぼえがき 02 つゆにさくはな |
| 釘抜藤吉捕物覚書 02 梅雨に咲く花 |
冒頭文
一「ちぇっ、朝っぱらから勘弁ならねえ。」 読みさしの黄表紙(きびょうし)を伏せると、勘弁勘次は突っかかるようにこう言って、開けっ放した海老床の腰高(こしだか)越しに戸外(そと)を覗いた。 「御覧なせえ、親分。勘弁ならねえ癩病人(かってえぼう)が通りやすぜ——縁起(えんぎ)でもねえや、ぺっ。」「金桂鳥(きんけいちょう)は唐(から)の鶏(にわとり)——と。」 町火消の頭、に組の常吉を相手に、先刻から
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 一人三人全集Ⅰ時代捕物釘抜藤吉捕物覚書
- 河出書房新社
- 1970(昭和45)年1月15日