くぎぬきとうきちとりものおぼえがき 03 みっつのあしあと
釘抜藤吉捕物覚書 03 三つの足跡

冒頭文

一 紫に明ける大江戸の夏。 七月十四日のことだった。神田明神は祇園(ぎおん)三社、その牛頭(ごず)天王祭のお神輿(みこし)が、今日は南伝馬町の旅所から還御になろうという日の朝まだき、秋元但馬守(あきもとたじまのかみ)の下屋敷で徹宵酒肴(てっしょうしゅこう)の馳走に預かった合点長屋の釘抜藤吉は、乾児の勘弁勘次を供につれて本多肥後殿の武者塀に沿い、これから八丁堀まではほんの一股ぎと今し

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 一人三人全集Ⅰ時代捕物釘抜藤吉捕物覚書
  • 河出書房新社
  • 1970(昭和45)年1月15日