くぎぬきとうきちとりものおぼえがき 09 おんりょうくびにんぎょう
釘抜藤吉捕物覚書 09 怨霊首人形

冒頭文

一 がらり、紅葉(もみじ)湯の市松格子が滑ると、角の髪結海老床(えびどこ)の親分甚八、蒼白い顔を氷雨(ひさめ)に濡らして覗き込んだ。 「おうっ、親分は来てやしねえかえ、釘抜の親分はいねえかよ。」 濛々と湯気の罩(こも)った柘榴口(ざくろぐち)から、勘弁勘次が中っ腹に我鳴り返した。 「なんでえ、いけ騒々しい。迷子(めえご)の迷子の三太郎じゃあるめえし——勘弁ならねえ。」 「

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 一人三人全集Ⅰ時代捕物釘抜藤吉捕物覚書
  • 河出書房新社
  • 1970(昭和45)年1月15日