はやみみさんじとりものききがき 04 うみへかえるおんな
早耳三次捕物聞書 04 海へ帰る女

冒頭文

いやもう、いまから考えると途方もないようだが、元治元年といえば御維新の四年前で、蛤御門(はまぐりごもん)の変、長州征伐、おまけに英米仏蘭四カ国の聯合艦隊が下関を砲撃するなど、とかく人心が動揺している。したがってなかなか珍談があるなかにも、悪いやつらが腕に捻(よ)りをかけて天下を横行したから、捕物なんかにも変り種がすくなくない。 これは江戸花川戸の岡っ引、早耳三次が手がけた事件の一つ。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 一人三人全集Ⅰ時代捕物釘抜藤吉捕物覚書
  • 河出書房新社
  • 1970(昭和45)年1月15日