ごしきがに
五色蟹

冒頭文

一 わたしはさきに「山椒の魚」という短い探偵物語を紹介した。すると、読者の一人だというT君から手紙をよこして、自分もかつて旅行中にそれにやや似た事件に遭遇した経験をもっているから、何かの御参考までにその事実をありのままに御報告するといって、原稿紙約六十枚にわたる長い記事を送ってくれた。 T君の手紙には又こんなことが書き添えてあった。——わたしはまだ一度もあなたにお目にかかったことが

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2002(平成14)年3月29日