こうがさぶろうこはくのパイプじょ
甲賀三郎『琥珀のパイプ』序

冒頭文

いわゆる文壇の小説家という人たちは、たいてい似たり寄ったりの生活をしている。したがってこれらの人たちが自分の身辺の出来事を報告した小説は、自然、千遍一律に流れやすい。近頃の文壇の作品には特にこの傾向が甚しくなってきた。そこで読者の方からは、何かもっと毛色の変わった、刺激の強い、興味のある読み物を要求してくるようになった。探偵小説は、こうした要求に答えるために生まれてきた新興文芸の一つであると見るこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「琥珀のパイプ」春陽堂、1926(大正15)年6月

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年11月10日