あくまのせいだん
悪魔の聖壇

冒頭文

法律の前には罪を犯さなくても、神の前に罪を犯さぬ者はありません。貴方(あなた)がこれまでに犯したいちばん重い罪を神様の前に懺悔(ざんげ)しなさい。懺悔によりて罪は亡びるのです。貴方は救われるのです。 「牧師様、いちばん重い罪でなくてはいけないものでしょうか? 二番目に重い罪では?」 「いちばん重い罪でなくては神を偽ることになります。今日から新生涯にはいろうとなさる貴方が、新生涯にはいる第一

文字遣い

新字新仮名

初出

「令女界 第六巻第一号」宝文館、1927(昭和2)年1月号

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年11月10日