われぞげにとけて寐(ぬ)らめやほととぎす ものおもひまさりこゑとなるらん 蜻蛉日記 その一 「昔、殿のお通いになっていらしった源の宰相某(なにがし)とか申された殿の御女(むすめ)の腹に、お美しい女君が一人いらっしゃるそうでございます。その女君なんぞをお引き取りになられては、如何なものでございましょう? なんでも今は、お二人共、兄(しょうと)に当られる禅師