ほんじょりょうごく
本所両国

冒頭文

「大溝(おほどぶ)」 僕は本所界隈(ほんじよかいわい)のことをスケツチしろといふ社命を受け、同じ社のO君と一しよに久振(ひさしぶ)りに本所へ出かけて行つた。今その印象記を書くのに当り、本所両国(ほんじよりやうごく)と題したのは或は意味を成してゐないかも知れない。しかしなぜか両国は本所区のうちにあるものの、本所以外の土地の空気も漂(ただよ)つてゐることは確かである。そこでO君とも相談の上、ちよ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京日日新聞」1927(昭和2)年5、6月

底本

  • 芥川龍之介全集 第四巻
  • 筑摩書房
  • 1971(昭和46)年6月5日