しろいシヤツのむれ
白いシヤツの群

冒頭文

清は仲間の安三から金の分け前を要求せられてゐた。彼はそれを傍の者に知られないやうにと、自分の眼の前へひよつとこ顔を突出してゐる相手の言葉を押へつけた。 「まア、飲め、飲め、酒を飲まない奴は、話せないよ」 清はビールのビンを手にして安三のカツプに注いだ。 「酒も飲むがな。酒も飲むが、あれも貰ふがな、」 安三は小さな眼をちか〳〵動かした。 「君は夢でも見たのか、をかしな奴

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典
  • 学研M文庫、学習研究社
  • 2003(平成15)年10月22日