プルウストのぶんたいについて |
プルウストの文体について |
冒頭文
散文の本質といふものは、自分の考へをどんな風にでも構はずに表現してしまふところにある、と言つてもいいやうであります。スタンダァルにしろ、バルザックにしろ、さういふ意味での、本當の散文家でありました。それから、いまお話ししようとするプルウストも、さういふ散文家の最もすぐれた一人であります。 プルウストの文體は、一見しますと、いかにも書きつぱなしのやうで、混亂してゐて、冗漫に見えるのでありま
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「日本現代文章講座 鑑賞篇」厚生閣、1934(昭和9)年5月19日
底本
- 堀辰雄作品集第五卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年9月30日