夕暮である。僕はフランス波止場をぶらりぶらりと歩いてゐる。しやれた煉瓦建てがある。何だらうと思つて、近づいて見ると、中にはほとんど人氣がない。入口のところにも、何も書いてない。そしてただ NO*といふ番號が、何かを暗示するやうに、出てゐるきりだ。そんな建物と建物との間に、大きな空地があつたりする。生ひ茂つた雜草が FOR SALE といふ立札をほとんど見えなくさせてゐる。中には「コノヘンニ狂犬アリ