わかなのまきなど |
若菜の巻など |
冒頭文
最近「かげろふの日記」「ほととぎす」それから「姨捨」と續けて平安朝の女たちの日記に主題を求めて短篇を書いてばかりゐますせゐか、屡〻平安朝文學に就いて何か書けなどと言はれますので、どうも飛んだ事になつたと思つてゐます。まだ、そんな事について一家言をもてるほど、とつくりと讀んぢやゐないし、——いままで讀んだ二つ三つのものだつて自分勝手のいい加減な讀み方だし、——しかし、少し讀み出して見たところではなか
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「創元 第一巻第五号」1940(昭和15)年8月倍大号
底本
- 堀辰雄作品集第五卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年9月30日