しげき「すいせんともくぎょ」 ――いちしょうじょのうたえる――
詩劇「水仙と木魚」 ――一少女の歌える――

冒頭文

プロローグ 私は京極光子と申します 年は十七年三カ月 学問は中学を卒業しただけで 病気のために寝たきりで 自分一人では一メートルも動けない 詩を読んだのは 宮沢賢治とホーマアのオデッセィの二冊だけです その私が、おどろくなかれ 水仙と木魚という題で 長い長い詩を書きますから どうぞ皆さん覚悟してくださいな この中で私は 人類よ、思いあがって 水爆や原爆なんぞをポ

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1957(昭和32)年4月号

底本

  • 三好十郎の仕事 別巻
  • 學藝書林
  • 1968(昭和43)年11月28日