むろうさんへのてがみ
室生さんへの手紙

冒頭文

御高著「室生犀星詩集」(第一書房版)をお送り下さつて有難うございました。 私はいまこの雜誌からあなたに宛てた手紙の形式で何かあなたのことを書けと云はれ、丁度改造社版の「新選室生犀星集」を讀んでゐたところなので、あなたのさまざまな時代の作品のことを考へるには、最も適當な機会を得た譯であります。 吉村鐡太郎君が「文學」の二月號に「室生犀星論」を書いてゐますが、もうお讀みになりました

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新潮 第二十七巻第三号」1930(昭和5)年3月号

底本

  • 堀辰雄作品集第五卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年9月30日