ひどけいのてんし
日時計の天使

冒頭文

一九〇六年一月二十五日、ライネル・マリア・リルケはロダン夫妻と同行して、シャアトルの本寺(カテドラアル)を見物に行つた。そのシャアトル行の状況は、リルケがその妻クララに宛てて其日のうちにシャアトルで書いたのと、その翌日巴里から出したのと、二通の手紙に彷彿としてゐる。リルケの手紙の中でも特に興味深く思へる故、この手帳に全部書きとめて置くことにする。          ⁂ クララ リルケに

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝 第三巻第四号」1935(昭和10)年4月号

底本

  • 堀辰雄作品集第五卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年9月30日