「レクイエム」 |
「鎮魂曲」 |
冒頭文
ハイネのロマンツェロなどは、數ヶ月の間に病苦と鬪ひながらも一氣に書き上げて、それをはじめから一卷として世に問うたものらしい。ああいふ慟哭的な詩などは一篇々々引きちぎつて讀まされるよりも、一卷として讀みとほすことによつて、我々の感動は別して強まるのである。その他、ヴェルレェンの「叡智」と云ひ、リルケの「時祷書」と云ひ、又コクトオの「プラン・シャン」と云ひ、さういふ連作體の詩としては最高度のものであら
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「文藝懇話会 第一巻第十二号」1936(昭和11)年12月号
底本
- 堀辰雄作品集第五卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年9月30日