さらしなにっきなど |
更級日記など |
冒頭文
御質問にお答へするほど、日本の古典をよく讀んでゐませんので大變困りましたが、 一、僅かに讀んだものの中では、「更級日記」などが隨分好きです。理由と云つても別にありませんが、彼女の小さな夢を彼女なりに切實に生きたらしい、この「更級日記」の作者などが、何となく僕には血縁のあるやうな氣がするからです。 一、僕がそれから影響を受けたやうなものはまだ日本の古典の中にはありさうもありません
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「文藝懇話会 第一巻第五号」1936(昭和11)年5月号
底本
- 堀辰雄作品集第五卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年9月30日