こころのしごとを あるみちのともへのてがみ |
| 心の仕事を 或未知の友への手紙 |
冒頭文
御手紙拜見しました。 ドゥイノの悲歌に就いての御質問の事、只今生憎手許に充分本がありませんので、御滿足の行くやうには御返事が出來かねますが、——第十の悲歌のあの冒頭の部分は、此の最後の悲歌の主題として考へられる、悲しみを過(よ)ぎつて本當の生に到達する「道」の探究へと我々を導いてゆくために、先づ、我々、地上の愛に充ちた者らにおける悲しみの位置といつたものをはつきりとさせてゐるのであります。
文字遣い
旧字旧仮名
初出
底本
- 堀辰雄作品集第五卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年9月30日