あるおんなともだちへのてがみ
或女友達への手紙

冒頭文

このリルケの手紙は、彼の死後、程なく、「新佛蘭西評論(ヌウヴエル・ルヴユ・フランセエズ)」(一九二七年二月號)に發表せられたものである。この手紙と共に、J・P(編輯者のジャン・ポオランか?)と署名のある、リルケの死を悼む文が載せられてゐる。(文中、筆者は詩人が既に危篤の状態にありながら、醫者の死ではなしに、彼自身の死を死ぬことを欲して、遂に一切の注射を拒絶したといふ插話を引いて、大いに驚歎してゐる

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「四季 第八号 リルケ研究号」1935(昭和10)年5月20日

底本

  • 堀辰雄作品集第五卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年9月30日