「あおねこ」について |
「青猫」について |
冒頭文
私は萩原朔太郎さんのことを考へると、いつも何處かの町角の、午後の、まだぱあつと日のあたつてゐる、閑靜なビヤホオルかなんぞで二人きりで話し合つてゐるやうな記憶が一番はつきりと浮んでくる。それだのに、萩原さんのほうでは、私のことを思ふときは、いつも山間のホテルの露臺のやうなところで二人で話し合つてゐる姿がうかぶといはれてゐた。…… いまも、詩集「青猫」のことなど書いてみたいと思つてゐると、ま
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「『萩原朔太郎全集』第二巻「詩集・下」 第八回配本附録」小学館、1944(昭和19)年2月10日
底本
- 堀辰雄作品集第四卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年8月30日