こころのすがたのけんきゅう
心の姿の研究

冒頭文

夏の街の恐怖焼けつくやうな夏の日の下におびえてぎらつく軌条(れーる)の心。母親の居睡(ゐねむ)りの膝(ひざ)から辷(すべ)り下りて肥(ふと)った三歳(みつ)ばかりの男の児(こ)がちょこ〳〵と電車線路へ歩いて行く。八百屋(やほや)の店には萎(な)えた野菜。病院の窓掛(まどかけ)は垂(た)れて動かず。閉(とざ)された幼稚園の鉄の門の下には耳の長い白犬が寝そべり、すべて、限りもない明るさの中にどこともか

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の文学 15 石川啄木・正岡子規・高浜虚子
  • 中央公論社
  • 1967(昭和42)年6月5日