パイプについてのざつだん
パイプについての雑談

冒頭文

この二三日、咽喉が痛くてしかたがない。どうも煙草の飮み過ぎらしいのだ。 それで、愛用のパイプを口にくはへることも我慢してゐる。 ——だからといふのではないがひとつ、僕の古馴染みのパイプの惡口でも書いてやらうかと思ふ。          ⁂ 僕の愛用のパイプといつたつて、普通のブライヤアのやつで、ちつとも自慢するほどのものぢやない。 何しろ、これを買つたのは

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「帝国大学新聞 第三百五十七号」1930(昭和5)年10月27日

底本

  • 堀辰雄作品集第四卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年8月30日