やまにっきそのに
山日記その二

冒頭文

十月九日 こちらはもう秋が深い。冬までゐられさうなことを言つてゐた川端さんも、これからずつと木曾をまはつて鎌倉へ歸ると、さきをとつひお別れに來られたが、たぶんけふあたりはその木曾を旅してゐられることだらう。僕達はいまやりかけてゐる「續かげろふの日記」の仕上がるまでは頑張つてゐるつもりだが、さあ、いつ出來上がることか知らん? 實はその仕事もいよいよこれからといふところで、僕が一週間ばかり寢込ん

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 堀辰雄作品集第四卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年8月30日