えはがき
絵はがき

冒頭文

一九三〇年八月十七日、K村にて 僕がホテルのベッドに横になつて、讀書をしてゐたら、窓から、向日葵の奴がしきりにそれをのぞきこむのだ。 どうもうるさくつてしかたがない。 そこで僕は立ち上つていつて、窓をしめてきてやつた。 うすぐらくなる。本なんか讀んでゐるよりは晝寢にもつてこいだなと思つてゐると、……いつのまにか僕はすこし眠つてしまふ。 やがて僕は目

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「週刊朝日 第十八巻第十六号」1930(昭和5)年10月5日

底本

  • 堀辰雄作品集第四卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年8月30日