こうきしん
好奇心

冒頭文

殺された娘、美人、すくなくとも新聞の上では。それが宮枝には心外だ。宮枝はその娘を知っている。醜い娘、おかめという綽名だ。 あたしの方がきれいだ。あたしの方が口が小さい。おかめなんていわれたことはない。宮枝の綽名はお化け。あんまり酷だから、聴える所では誰も言わなかった。お化け、誰のことかしら。声だけは宮枝も女だった。 誰でも死ぬ。クレオパトラ。白骨にも鼻の高低はあるのか。文章だけ

文字遣い

新字新仮名

初出

「大阪毎日新聞」1946(昭和21)年10月20日

底本

  • 定本織田作之助全集 第六巻
  • 文泉堂出版
  • 1976(昭和51)年4月25日