しんせいのもん ――とちぎのじょしゅうけいむしょをたずねて
新生の門 ――栃木の女囚刑務所を訪ねて

冒頭文

わたしは刑務所を見にゆくと云うことは初めてのことです。早い朝の汽車のなかで、わたしは呆(ぼ)んやり色々のことを考えていました。 この刑務所をみにゆくと云うことは、本当は一ヶ月前からたのまれていたのですけれど、何だか自分の気持ちのなかに躊躇(ちゅうちょ)するものがあって、のびのびに今日まで待ってもらっていたのです。 朝の汽車はたいへん爽(さわや)かに走っています。野も山も鮮やかな

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 林芙美子随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年2月14日