きものざつこう
着物雑考

冒頭文

袷(あわせ)から単衣(ひとえ)に変るセルの代用に、私の娘の頃には、ところどころ赤のはいった紺絣(こんがすり)を着せられたものですが、あれはなかなかいいものだと思います。色の白いひとにも、色の黒いひとにも紺の絣と云うものはなかなかよく似合ったもので、五月頃の青葉になると、早く絣を着せてくれと私はよく母親へせがんだものでした。洗えば洗うほど紺地と白い絣がぱっと鮮かになって、それだけ青葉の季節を感じます

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 林芙美子随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年2月14日