よせあんどん
寄席行灯

冒頭文

秋色寄席懐古 秋になると、あたしの思い出に、旧東京の寄席風景のいくつかが、きっと、儚(はかな)い幻灯の玻瑠絵(はりえ)ほどに滲み出す。 京橋の金沢——あすこは、新秋九月の宵がよかった。まだ、暮れきって間もない高座が、哀しいくらい明るくって、二階ばかりの寄席(旧東京の、ことに、寄席にはこういう建築が多かった。神田の白梅、浅草の並木、みんなそうだった。明治の草双紙の、ざんぎり何とかとい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 寄席囃子 正岡容寄席随筆集
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 2007(平成19)年9月20日