どうきゅうしつのしちにん
撞球室の七人

冒頭文

……別の一台の方では、四人の人間が大声に笑いながら、賑かに三人上りの球を撞(つ)いていた。私の方は三人。前回に惜しい負をした私は休んで、もう五回から撞き続けている憎々しい眉間(みけん)に大きな黒子(ほくろ)のあるもじりの男と、それから新しい相手の、どこか南洋へでも行っていたらしい色のくろい男との勝負を見守っていた。そして、新しい相手がどうかしたはずみにチョークを取り落して、それを拾うために身を跼(

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵」駿南社、1931(昭和6)年6月号

底本

  • 「探偵」傑作選 幻の探偵雑誌9
  • 光文社文庫、光文社
  • 2002(平成14)年1月20日