さつじんめいろ 08 (れんさくたんていしょうせつだいはちかい)
殺人迷路 08 (連作探偵小説第八回)

冒頭文

十日の勝負 「いいえ、僕の云ってる事は決して嘘や空想じゃありません。たしかにあいつです。今お話したバーで見た怪しいあの男です」 星田代二は生れてはじめて検事局の調室に引張り出されて、差向いでいる二木(ふたき)検事に対して必死の弁明をやりはじめた。 二木検事は、警視庁から送局された書類を机の前におきながら、殆ど無表情で星田に相対して居る。 「ふん、君は本庁で取調べられた時も、

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵クラブ」1933(昭和8)年1月号

底本

  • 「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8
  • 光文社文庫、光文社
  • 2001(平成13)年12月20日