えんたろうばしゃ
円太郎馬車

冒頭文

長屋の花見 暮れも押し詰まった夜の浅草並木亭。 高座では若手の落語家(はなしか)橘家圓太郎が、この寒さにどんつく布子(ぬのこ)一枚で、チャチな風呂敷をダラリと帯の代わりに巻きつけ、トボけた顔つきで車輪に御機嫌を伺っていた。 クリッとした目に愛嬌のある丸顔の圓太郎がひと言しゃべるたび、花瓦斯(はなガス)の灯の下に照らしだされた六十人近いお客たちは声を揃えてゲラゲラ笑いこ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 2007(平成19)年8月20日