源之助の演る芝居に女団七と言ふのがある。大きな茶のべんけいの浴衣を着て、黒繻子の帯を平つたく四角に締め、すそを片方だけ高くからげるから白の蹴出しが出て、それが素足にかゝる。頭は崩れたつぶしかおばこか何かで、顔は白く塗り、眉は無いにちがひない。——手に抜身の脇差を持つて、黒塀の前で義理あるおとら婆アを殺す狂言だ。 ——序でに之れも書いておくが、あとで、その黒塀の向うの青空を遠見で五彩の花車が通る