すざきのいんしょう
洲崎の印象

冒頭文

東京の中は何処も大抵知つてゐるつもりでゐたけれども、燈台もと暗し、洲崎をろくに知らずにゐたことを最近になつて気が付いた。その洲崎へ行つて見て初めて、こんな特殊なところを、今まで殆んど知らずにゐたかと、迂遠に心付いたわけだ。 ——尤も洲崎の概念なり地形等々は子供の頃から聞きおぼえてよく知つてゐる。洲崎と云へば津浪、大八幡楼、広重の絵の十万坪(名所江戸百景の内)と、よく知つてゐる。写生画では

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 東京の風俗
  • 冨山房百科文庫、冨山房
  • 1978(昭和53)年3月29日