げんしばくだん
原子爆弾

冒頭文

夏の野に幻の破片きらめけり短夜を※[#「血+卜」、232-3、読みは「たお」か]れし山河叫び合ふ炎の樹雷雨の空に舞ひ上る日の暑さ死臭に満てる百日紅重傷者来て飲む清水生温く梯子にゐる屍もあり雲の峰水をのみ死にゆく少女蝉の声人の肩に爪立てて死す夏の月魂呆けて川にかがめり月見草廃虚すぎて蜻蛉の群を眺めやる

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の原爆文学1 原民喜
  • ほるぷ出版
  • 1983(昭和58)年8月1日