はなびとおおかわばた |
花火と大川端 |
冒頭文
花火といふ遊びは、金を飛散させてしまふところに多分の快味があるのだから、經濟の豐なほど豪宕壯觀なわけだ。私といふ子供がはじめて記憶した兩國川開きの花火は、明治二十年位のことだから、廣告花火もあつたではあらうが、資本力の充實した今日から見れば、三業組合——花柳界の支出費だけで、大仕掛のものはすくなかつた。 江戸時代の川開きとは、納凉船が集つてくる、五月廿八日から八月廿八日までをいつたものだ
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「改造」1934(昭和9)年7月
底本
- 桃
- 中央公論社
- 1939(昭和14)年2月10日