じゅうきょ
住居

冒頭文

松岡映丘畫伯の晩年の作によく見えた丘の段々畑。あの新大和繪風な色彩そつくりの山畑を遠くから見て、絣のやうなと形容したのを、笑はれたことがあるが、郊外などの、田園都市の近代風の建物の遠景などは、更紗模樣とも眺められる。 ところで、わたくしの家の好みは、どこかばかげた、間の拔けたところが、一二個所ある建てかたが好きだ。それを利用して生かす面白味が、他人の家にはない、自分のところでなければない

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「朗」1939(昭和14)年5月

底本

  • 随筆 きもの
  • 実業之日本社
  • 1939(昭和14)年10月20日