したまちむすめ
下町娘

冒頭文

江戸の女を語るには、その階級から語らなければならない。 武家と町人——それはその時代の何處にもカツキリとされた區別であるが、江戸にはもひとつの別階級がある、職人である。 下町娘の總稱は、町人、職人を一つにまとめて、日本橋、京橋、芝、神田、下谷、淺草、本所、深川に住んでゐた、下町つ子の娘をさしてさう呼ぶ。だが、その下町娘の中に二種類があるといはなければならない。富裕な町人の娘の階

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「サンデー」1929(昭和4)年10月

底本

  • 随筆 きもの
  • 実業之日本社
  • 1939(昭和14)年10月20日