さつじんめいろ 06 (れんさくたんていしょうせつだいろっかい)
殺人迷路 06 (連作探偵小説第六回)

冒頭文

見えざる敵 新橋駅で雑誌記者の津村と別れた探偵作家の星田は、そこから自動車を拾って一先ず自分の宅へ引上げてきた。 捕捉することの出来ない不安は、次第にじりじりと胸元へこみ上げてくる。つい、先程まで冗談だとばかり思っていた事が、急に恐ろしい現実となって襲いかかってきたのだ。しかも、この忌まわしい、好もしからざる事件に於て、自分はまんまと犯人の役割を背負込まされているのだ。

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵クラブ」1932(昭和7)年11月号

底本

  • 「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8
  • 光文社文庫、光文社
  • 2001(平成13)年12月20日