ぎんざのやなぎ
銀座の柳

冒頭文

昔の面影を偲ぶやうな今の東京の材料をとの意向だが、存外はづれの「淀橋」といつたやうなところにその「昔の面影」があるやうである。しかし「昔」もこれはまた「大昔」であつて、戦災であたりが広漠となつたために、むかし武蔵野の野川であつた頃にはこの辺かくもあつたらうかと思はせる、早くいへば、地形的回顧を人に与へるものがある。 ——それでは余り「昔」すぎるだらう。 七月一日(昭和廿一年頃)

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 東京の風俗
  • 冨山房百科文庫、冨山房
  • 1978(昭和53)年3月29日