ゆうかいしゃ
誘拐者

冒頭文

上 悪魔の手 綿布問屋新田善兵衛(にったぜんべえ)の娘ゆき子は公会堂からの帰途(かえりみち)何者かに誘拐されてしまった、当夜伴をして一緒に行った女中の話によると同夜××夫人の演奏会が済んで公会堂を出た主従は電車に乗って家近くの停留場で降りた、家の方へ曲ろうとするとゆき子は弟の善太郎(ぜんたろう)に喰(たべ)させる菓子を女中に買いにやった、女中は菓子を買い求めて前の所に来て見ると、主人の姿がな

文字遣い

新字新仮名

初出

「新趣味」1922(大正11)年 12月号

底本

  • 「新趣味」傑作選 幻の探偵雑誌7
  • 光文社文庫、光文社
  • 2001(平成13)年11月20日