あまたちへのしょうそく ――よくいきよとの――
尼たちへの消息 ――よく生きよとの――

冒頭文

日蓮聖人の消息文(せうそくぶん)の中から、尼御前(あまごぜ)たちに對(あた)へられた書簡を拾つてゆくと、安産の護符(ごふ)をおくられたり、生れた子に命名したりしてゐて、哲人日蓮、大詩人日蓮の風貌躍如として、六百六十餘年の世をへだてた今日、親しく語りかけられる心地がする。もとよりこの尼御前(あまごぜ)たちは在家(ざいけ)の尼たちであるが、送られた手紙は、文章も簡潔で實に好い。それよりもよいのは、寄進

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「手紙講座 卷の三」平凡社、1935(昭和10)年4月1日

底本

  • 中央公論社
  • 1939(昭和14)年2月10日