きょうしゅうのしじん よさぶそん
郷愁の詩人 与謝蕪村

冒頭文

序 蕪村(ぶそん)や芭蕉(ばしょう)の俳句に関しては、近頃(ちかごろ)さかんに多くの研究文献が輩出している。こうした時代において、著者の如く専門の俳人でもなく、専門の研究家でもない一詩人が、この種の著書をあらわすということは、無用の好事的(こうずてき)余技の如く思われるが、決してその然(しか)らざる必然の理由があるのである。というのは、従来世に現われている蕪村論や芭蕉論は、すべていわゆる

文字遣い

新字新仮名

初出

蕪村の俳句について「生理 1」1933(昭和8)年6月、春の部「生理 2」1933(昭和8)年8月、夏の部「生理 3」1933(昭和8)年11月、秋の部「生理 4」1934(昭和9)年5月、冬の部「生理 5」1935(昭和10)年2月、芭蕉私見(前半部分)「コギト 第四十二号」1935(昭和10)年11月、芭蕉私見(後半部分)「俳句研究 第三巻第一号」1936(昭和11)年1月

底本

  • 郷愁の詩人 与謝蕪村
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年11月16日