創業記事端書 世の中をわたりくらべて今ぞ知る 阿波の鳴門は浪風ぞ無き予は第二の故郷(こきょう)として徳島に住する事殆んど四十年、為に数十回鳴門を渡りたるも、暴風激浪の為めに苦しめらるる事を記憶せざるなり。然るに今や八十一歳にして既往を回顧する時は、数十回の天災人害は、思い出(いだ)すに於ても粟起(ぞっき)するを覚うる事あり。然れども今日(こんにち)迄無事に生活し居(お)るは、実に冥々裡(めい