ぞくせいかつのたんきゅう
続生活の探求

冒頭文

一 つねの年にも増して寒さもきびしく、風も吹き荒れることの多いその年の暮れであつた。この地方は、北と東に向つて開き、海も近く、そこから吹き上げて來る風は、杉野たちの部落の後ろの山で行き止まりだつた。晝も夜も山に鳴る風の音に包まれながら、山裾の地のわづかなくぼみに、杉野の家はひつそりとしてゐた。家のなかは、平和な、物靜かな空氣にあたたまつてゐた。舊暦の節季までにはまだひと月あつたが、その節季への備

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「一」~「二」「文學界 第五卷第二號」1938(昭和13)年2月1日発行<br>「書下ろし長篇小説叢書 第十四卷」河出書房、1938(昭和13)年6月17日発行

底本

  • 島木健作作品集 第二卷
  • 創元社
  • 1953(昭和28)年6月30日