四条柳馬場の角に「金定」という絹糸問屋があって、そこに「おらいさん」というお嫁さんがいた。 眉を落としていたが、いつ見てもその剃りあとが青々としていた。 色の白い、髪の濃い、襟足の長い、なんとも言えない美しい人だった。 あのような美しい、瑞々した青眉の女の人を、わたくしは母以外に識らない。 お菓子屋の「おきしさん」も美しい人であった。面屋の「やあさん」は近所でも評判娘だった。