しじょうどおりふきん
四条通附近

冒頭文

四条柳馬場の角に「金定」という絹糸問屋があって、そこに「おらいさん」というお嫁さんがいた。 眉を落としていたが、いつ見てもその剃りあとが青々としていた。 色の白い、髪の濃い、襟足の長い、なんとも言えない美しい人だった。 あのような美しい、瑞々した青眉の女の人を、わたくしは母以外に識らない。 お菓子屋の「おきしさん」も美しい人であった。面屋の「やあさん」は近所

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日