よれいはつたび ――ちゅうしゆうき――
余齢初旅 ――中支遊記――

冒頭文

海を渡りて 年々、ずいぶんあわただしい生活がつづいている。こんな生活をいつまでもつづけていてはならないとおもう。 年中家にいて、電話がかかって来る。人がたえず訪ねてくる。ひっきりなしである、とてもめまぐるしい。その騒然雑然たるさまはとても世間の人たちには想像がつくまいとおもう。 世間の人々は、私の生活がこんなにわずらわしいとは思っていないにちがいない。もっとおちつき払った

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日